美容外科のクリニック、特に大規模医院においてその傾向が顕著なのですが、美容外科の総合病院化が年々進んでいるようです。元々美容外科に携わるドクターの多くが、複数の診療科目をマスターしておられるわけですが、これに加えて、美容外科をより総合的に統括的に行っていく手段として、それぞれの専門科目のドクターでチームを組むというケースが増えているようです。
たとえばあるクリニックでは眼瞼下垂と隆鼻術を同時に行うようなオペレーションに際して、美容外科の執刀医の他に眼科と耳鼻咽喉科のエキスパートをチームに組み入れ、より精密で安全な「パーフェクト・オペレーション」を目指しているわけです。もちろん美容外科のドクターたちは元々オールラウンドな才能の持ち主ばかりですが、専門家がチームに加わることで治療精度が大幅にアップしているわけです。
逆に、皮膚科や歯科の治療分野において、美容外科が専門とする「自然で美しい仕上がり」を取り入れた治療が提唱され、すでに定着しているのは周知の通りです。「審美的治療」という言葉に聞き覚えがあるでしょうか。現代では考えられないことですが、たとえば外科の治療というものは昔は相当に荒っぽいものでしたし、手術となれば傷が残るのは当たり前という時代があったわけです。これに異を唱えたのが美容外科であり、その精神こそが審美的治療なのです。
かつての外科治療というものは、延命措置こそが第一義であって、そのためには患部の切断も躊躇せず行い、縫合痕が大きく残ることなどまったく意に介さないものだったのです。現代の外科治療では、いかにして切開部分を小さくし、いかにして現状を維持しつつ、元の状態に復元するかが大きなテーマとなっているわけです。がんの治療などでも、内視鏡やレーザーメスを利用するなど出来るだけ傷を小さくし、患者の肉体的負担を軽減する方向にシフトしていますね。手術痕もほとんど残さない、というのが現代の外科治療です。
こうした外科全体の考え方の変化の大本には、美容外科の提唱した審美的治療の影響が少なくありません。日本社会の高齢化が進行しつつある現在、患者の肉体的負担を軽減していくことは、どのみち最優先課題ではあったわけです。審美歯科や美容皮膚科の根本思想にもまた、美容外科の精神が脈々と生きています。